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2010年10月

渡辺香津美さんのコンサートに行ってきた。

渡辺香津美さんのコンサートに行ってきた。

年に一度は三鷹市の風のホールに足を運んでいる。台風が来ていたので心配しながら少し早めに家を出る。

ギターを好きな人はとにかく彼の演奏を見たら嬉しい気持ちで満たされる。ギターを愛していて、しかもギターにも愛されている人。すごい。演奏がすごい、はもう言うまでもなくて、ギターの魅力を立ち上げる妙。生で見るに限るアーティスト。ギター・ルネッサンスIV [響]にサインをいただいて握手もしていただきました。そう、手が小さな人なんだよね。僕よりもずっと手が小さい。だから、手の大きさとギターの上手い下手は関係なくて、練習とそれから、愛だ。

もっと頑張ろうと思ったのです。

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礼儀正しさの時間について

毎回の授業冒頭で、スペインやスペイン語圏に関係のある音楽をかけています。

授業を時間ぴったりに開始するというのは、弊害こそ多い。わざと遅くスタートすることで、学生は余裕を持って到着し、前回の授業の内容を互いに確認しあって、いざ授業を受ける準備が整う。忘れてた宿題をやったりもできる。スペインではこれをtiempo de cortesíaと呼ぶのだけれど、日本で僕が遅れて教室に入るといささか体面が悪いので、教室には大体授業時間に行って、音楽をかけているのです。1曲終わったくらいでヴォリュムを絞り、そのあと音楽と本の紹介(これについては別に書いたことがあります)をするので、実際の授業は5分から10分遅れて始まる。

授業が終わったあと、紹介した本を「あれ読みました」と教えてくれる学生さん。紹介した音楽を「あれ買って聴きました」と教えてくれる学生さん。実は紹介する本と音楽の選択に結構時間をかけているので、そういう反応があるととても嬉しくなってしまう。

来週は何を持っていこうかな、と考えるのです。

今週の一枚:クラウディオ・アラウ『ピアノ・ソナタ (リスト)』
今週の一冊:ウンベルト・エコ『論文作法

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その時々に目にする景色

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色々な瞬間に目にした景色を、色々な瞬間に、それぞれ別の場所で思い出し。

『エクスクレイヴ』の発送がひと段落。明日からまた授業です。そろそろ中間試験を作り始めなくてはね。

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『エクスクレイヴ』2号完成!

このたび『エクスクレイヴ』2号が完成しました。ちゃんと出せるかな、と心配もしたけれどどうにか。ご注文いただいた分については、既に発送を行っています。お手元にお届けできるまで、いましばらくお待ちください。

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ご執筆いただいたのは(五十音順):
暁方ミセイさん
稲本健二さん
瀬崎虎彦さん
南映子さん
山田美雪さん
吉田雨さん

発行部数が100部と少ないせいで、すぐに在庫がなくなってしまうことが予想されます。もし確実に手に入れたいという奇特な方がありましたらこちらよりご連絡いただければ幸いです。

価格は200円です。送料は僕が負担します。

奥付に間違いがありました。24ページ、第一号ではなく第二号でした。訂正してお詫び申し上げます。

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ちかごろ

映画公開に平行してアニメの『君に届け』が再放送していて、嬉しい。本当に好きな作品。原作では12巻が出たけれど、エピソード49「嫌いになんてなるわけがないんだ」の扉絵(爽子のお父さんが幼い娘を抱いている)が好き。高校卒業で終わる気がする。それがいい気がする。アニメは1月から続編が放送予定。うれしい。

ジョジョを最近読み返していて、自分は3部(空条承太郎編)が好きなんだけれど、絵としては5部(ジョルノ・ジョバーナ編)の方が(単純に上手くなって、ということかもしれないが)好きだと気づく。スティール・ボール・ランにいたっては、もう何が描かれているのか分からないレベルに達している。

マイコのブログを読んで、写真がかわいいなあと思っていた。ほぼ加工しているとのことだけれど、上手だと思う。こういう写真にしたいという絵が先にあるのかしらね。

さきに来日して大江健三郎と対談したハビエル・セルカスがスペインで国民文学賞受賞。これがあったから外遊させてくれたのかも?

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バルガス・リョサにノーベル文学賞

マリオ・バルガス・リョサがノーベル賞受賞!ペルーの作家でかつてフジモリと大統領選挙を争ったこともあるバルガス・リョサ。スペイン語圏では押しも押されぬ大作家。日本でも翻訳が多数あります。スペインでも大いに盛り上がっている。スペインの新聞『エル・パイス』には「ペルー・スペインの作家」と書かれているのだけれど、これは彼がもう長らくスペインに住んでいるから(スペイン国籍も取得、かつ王立アカデミア会員)。

都会と犬ども (1962年)

緑の家 (1965年)

ラ・カテドラルでの対話(1969年)

などの作品がある。一番最近翻訳が出た本は『嘘から出たまこと
』だろう。バルガス・リョサによる世界文学講義と考えてもよい。そも学究肌の人なので(コンプルテンセでPh. D.取得)様々な大学の講義なども引き受けている。『緑の家』も岩波文庫に入ったし、あらためてラテン・アメリカ文学に注目する契機となりそう。

ルックスも最高にかっこいい74歳、おめでとうございます!

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「誤訳」の授業

今でも相変わらずだが、僕は誤訳の達人だった。誤訳にもいろいろの種類があって、はじめから正答を見つけられる人には到底わからない深遠さがある。単純に言葉の意味を調べただけでは、その文の背骨というか、一貫性のようなものを見失ってしまうことがあるし、AときたらBというように条件反射で答えていると、辞書で言うところの2番目、3番目の語義を見失うことにもなる。一方で、条件反射的な答えは、以前にそのパターンをみたことがあるから経験的に学習しているものであって、知らなければそこに行き当たることがない。さらには、雰囲気だけで訳すのではなく(初学者が意訳と称する誤訳)、理詰めで正確に説明した上での誤訳というのもある。僕が思うにこれが至高の誤訳だ。こういう誤訳を目指したい。

秋になって大学が始まり、僕もスペイン語の授業をさせていただいているのだけれど、今学期は「読む」訓練を意識的にしています。文法もそこそこ学んだ。教科書に出てくる例文もちゃんと訳せる。動詞の活用もまずまず憶えている。しかし、それでは文を訳せないのである。むしろ、変な文とであったときの頭の筋肉の働きを鍛えないといけない。これはゲームと一緒で、数をこなすしかないと思う。あるいは、難しいことではなしに、いろいろなものを読むこと。しかもその際に先入見を減らして、虚心に読むことが必要な気がする。

たとえば、

De los juncos nació el flamenco.

juncosはイグサ、フラメンコはイグサから生まれた、という文。スペイン語を勉強している学生がflamencoといえばあのスペインの典型的な音楽、舞踊だという理解でこれを訳すとおかしなことになる。あえて、辞書を引く。すると、そこには「フラミンゴ」という意味ものっている。自分はその単語の意味を知っている、と過信するとよくない。

フラミンゴはイグサから生まれた。

足の細いフラミンゴが湿地に立っている様子と、イグサの群生が隠喩で結ばれている。

あるいは、

En la vida se pierden hasta los imperdibles.

こちらはあまりひねっていないように見えるか。辞書を引けばimperdibleは安全ピンだと知ることができる。では、

人生においては安全ピンでさえ失われる。

いったい何が面白いか、というと「安全ピン」という単語を眺めていると

im+perd(er)+ible:「失う(こと)+ができ+ない」

という意味素が認められる。失うことができないものさえ、人生では失われるのだ、というところが面白い。

でもこういうのを訳すのにはセンスは必要ない。訓練だけが必要だ。ただ自分の無知(知っているという思い込み、先入見)をねじ伏せながら進まなくてはいけないから苦しい。そちらが苦しいので、辞書を引く面倒くささは二の次になる。結果、よく辞書を引くようになる。辞書をよく引く学生は、より多くの文例に出会うので、より訓練の機会が増える。正解でも不正解でも、結果オーライ。ハッピー。

そういうことではないかなあ、と思って、今学期は変態テクストを多々読む、みんながうんざりするまで読むつもりです。どんどん誤訳して欲しい。そして、理詰めで誤訳して欲しい。雰囲気で、適当に訳すのではなく、その文にある全ての単語の意味を調べながら訳して欲しい。

出典はRamón Gómez de la SernaのGregueríasより。

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『エクスクレイヴ』2号は10月中旬発行予定

金木犀がよい香りですね。秋です。皆様いかがお過ごしですか。

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『エクスクレイヴ』の2号を出します。今日入稿が完了しました。実際出来上がったものを見るまではいつもドキドキするんだけれど、とにかく出ます。僕もささやかに文章を書かせていただきました。

発行部数が100部と少ないせいで、すぐに在庫がなくなってしまうことが予想されます。もし確実に手に入れたいという奇特な方がありましたらこちらよりご連絡いただければ幸いです。

価格は200円です。送料は僕が負担します。

どうぞよろしくお願いします。宣伝でした。

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