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大澤真幸『ナショナリズムの由来』

あまりの暑さにずっとクーラーをつけて過ごしていましたが、昨日の夜さっと夕立がありました。それから少し涼しくなった気がします。

Nacionalismoosawa 大澤真幸さんの『ナショナリズムの由来』(講談社、2007)という本を読んでいます。辞書みたいに箱に入っているとても大きな本です。でもとても分かりやすく書いてくれているので、ナショナリズムについて研究する人にとっては大変有益な本です。

これまでになされてきた研究の中で、重要性の高いものについては批判的に解釈を加えながら、より実践的な理論に作り変えていく、ということをしています。たとえば、ナショナリズムは近代の産物だということを明らかにした研究者としてアンダーソンとゲルナーがいます。彼らの研究に接点を持たせるようにして、お互いの弱点を補うようにしています。そこから大澤さん自身が考えるナショナリズムの由来(起源ではおかしいのですね)を明らかにするための糧が生まれてくるのでしょう。

社会学という学問は、文学同様にこれをこういう手順で説明できればそれでよし、というものではありません。使える武器はすべて使って、有効な理論やデータはすべて援用して、強大なバックボーンから自明のことと思われている問題の陰画を写し取る行為です。どこまで行っても終りはないかもしれません。

一つ一つ問題点を明らかにする中で、これを可能にしたメカニズムは何かということをどんどん遡及しながら議論しています。とても誠実な態度です。一つ問題が解決されると、新しい問題意識が生まれてくると。

セミの声を聞きながらページをめくっています。

雨が降るたびに少しずつ秋が近づいてくる。

トマトもそろそろおしまい。

Tomatoes

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